研究科長からのメッセージ

筑波大学大学院人間総合科学研究科長

内山 治樹

 貧困や格差あるいは少子高齢化などの問題が地球規模で山積・拡大する一方で、AIを含む知的情報処理技術の普及・発展によって社会環境が多様化・複雑化してきている今日、「人間」を理解し研究することはますます重要かつ不可避になっています。

人間総合科学研究科は、こうした時代の要請を先取りし、また、本学の特徴である「国際性」と「学際性」を具現化するために、平成13(2001)年に、人間系(教育学、心理学、障害科学)、体育系(体育学、体育科学)、芸術系(芸術学)、医学系(基礎医学、臨床医学、社会医学、看護科学)が結集し、さらに、ヒューマン・ケア科学、感性認知脳科学、スポーツ医学の3つの専攻から成る学際系を創設することで、共通の研究対象である「人間」をキーワードに幅広くかつ深く「人間」を研究する全く新しいタイプの統合研究領域として誕生しました。18周年を迎える平成30年(2018)年度は、昨年9月に農学と医科学を融合し、国際的かつ分野横断的な共同学位プログラムとして開設された「国際連携食料健康科学専攻」を加えた29の専攻と1つの専攻横断型学位プログラムから構成されています。また、これらを人間系、芸術系、体育系、医学系、学際系、東京地区(社会人大学院)の6つのサブ組織に括り、それぞれに副研究科長を置いて運営しています。本年度は、教員約640名と大学院生2,000余名が在籍することになります。

本研究科では、「人間」に関する基礎から応用までの高度な教育研究を推進することにより、幅広い国際的な視野と総合的な知識・技能を養うとともに、それぞれの固有の学問領域においてさらに高度な研究を計画実行できる研究者、および「人間」に関して幅広い知識をもち優れた学際研究を計画実行できる研究者、さらには、複合的な視点から「人間」をとらえ、さまざまな生き方をしている「人間」に対して柔軟かつ適切な支援を企画実行できる高度専門職業人を養成することを目的としています。これは、冒頭の21世紀における地球規模課題の解決に向けてパラダイムシフトを可能にし得る総合的な視点と独創的な研究能力を持つ人材の育成、という側面も併せもっています。

入学者選抜についても、国際性と学際性あるいは多様性と総合性を基調とした柔軟かつ弾力的な入学要件、選抜方式、選抜基準を掲げています。幅広い地域から多様な留学生や社会人あるいはキャリアパスとしての編入学生を積極的に受入れ、国費・私費留学生への特別の配慮をはじめ、社会人選抜、第3年次編入学、昼夜開講制あるいは連携大学院など多様な選抜方式、小論文や面接を取り入れた多面的な選抜基準を特色として、それぞれ7月、8月、10月、2月に入学試験を実施しています。

本研究科では各専攻・学位プログラムで行われるさまざまな教育研究活動を支援するとともに、これまで研究科を横断する形でいくつかの取組みを実施しています。その中でも代表的なものを紹介します。1つは「研究科FDプログラム」です。年4回開催していますが、このプログラムには教員だけでなく多くの学生が参加しています。本研究科に在籍する学生は、将来、大学教員や研究者あるいは高度専門職業人になることが期待されていることから、教育・指導力の向上ならびに教育と研究に関する社会的要請への関心が求められ、研究科FDプログラムはそのことを学生の立場で経験・学習する貴重な機会となっています。もう1つは、専攻と学位プログラムの垣根を超えて年1回開催する「学生の集い」です。これは学生同士の絆をつくりリーダーシップを高める重要なイベントとなっています。学内に併設されている野外活動施設「野生の森」に、これまで名前も所属も知らなかった学生たちが集合してグループを組み、自然から与えられるさまざまな課題の解決に向け、互いに知恵を絞りながら創造性を発揮して困難を乗り越えていく、というプログラムです。29専攻という多様な学問領域の特徴を活かして、「人間」に対する自らの専門分野と異なる立場の意見や考えを共有しつつ、お互いの親交を深めかつ他者への寛容さを身につける格好の機会になっています。

さらに、世界で活躍できる国際性豊かな人材育成に力を入れていることも本研究科の大きな特徴です。研究科独自に国際交流協定校との協働教育に加え、国際ディベート合宿、サマースクール、サマーインスティテュートなどを積極的に開催することで国際性を推進しています。また、学生が自ら海外の研究者と連絡をとり、自身の学位論文研究に役立つ活動を行うことに対する「武者修行型学修派遣支援」事業も研究科独自に実施しています。毎年多くの学生が世界にはばたいており、その成果には目を見張るものがあります。

人間総合科学研究科に入学を希望される皆さん、ぜひ一緒に「人間」を探究しましょう。

「人間」について幅広くかつ深く知ることは、自身のアイデンティティをあらためて理解・確認するとともに、他者への深い洞察や寛容さの醸成にもつながっていきます。本研究科で学修し獲得した知識・技能と世界観をもとに、希望と活力に満ち溢れた人生を送ることのできる魅力的な未来社会を切り拓く唯一無二の担い手となり得て、わが国のみならず世界に貢献していかれることを心より願っています。

                                                                     平成30(2018)年4月2日

平成30(2018)年度運営体制

調整委員会メンバー

内山治樹  研究科長

片平克弘  副研究科長(人間系専攻)

木塚朝博  副研究科長(体育系専攻)

長田年弘  副研究科長(芸術系専攻)

山中敏正  副研究科長(学際系専攻)

千葉 滋   副研究科長(医学系専攻)

小澤 温   副研究科長(東京キャンパス(人間系)専攻)

園山繁樹  前研究科長

石塚 伸   人間エリア支援室長

関口博文  体育芸術エリア支援室長

岡島隆治  医学医療エリア支援室長

専攻長

入江賢児  フロンティア医科学専攻長(修士)

熊谷嘉人  国際連携食料健康科学専攻長(修士)

水野道代  看護科学専攻長(前・後期)

藤井穂高  教育学専攻長(前期)、教育基礎学専攻長(後期)

片平克弘  学校教育学専攻長(後期)

濱口佳和  心理専攻長(前期)

原田悦子  心理学専攻長(後期)

原島恒夫  障害科学専攻長(前・後期)

岡田昌毅  生涯発達専攻長(前期)

小澤 温   生涯発達科学専攻長(後期)

庄司一子  ヒューマン・ケア科学専攻長(3年制)

山中敏正  感性認知脳科学専攻長(前・後期)

前田清司  スポーツ医学専攻長(3年制)

水上勝義  スポーツ健康システム・マネジメント専攻長(修士)

スポーツウエルネス学位プログラム運営委員会委員長(3年制)

木塚朝博  体育学専攻長(前期)

藤井範久  体育科学専攻長(後期)

會田 宏   コーチング学専攻長(3年制)

本田 靖   スポーツ国際開発学共同専攻長(修士)

高木英樹  大学体育スポーツ高度化共同専攻長(3年制)

内藤定壽  芸術専攻長(前期)

長田年弘  芸術専攻長(後期)

吉田正人  世界遺産専攻長(前期)、世界文化遺産学専攻長(後期)

土屋尚之  生命システム医学専攻長(医学の課程)

千葉 滋   疾患制御医学専攻長(医学の課程)