人間総合科学研究科の憲章

平成24年 4月27日
人間総合科学研究科運営委員会

趣旨

  1. 大学は、学問の自由を尊重し、高度の教育及び学術研究の府として、有為な人材の育成や新たな知識と技術の創造と活用、学術文化の継承と発展等を通して、学問の進歩と社会の発展に寄与するという使命と責務を担っている。人間総合科学研究科(以下、研究科)は、開かれた大学を標榜する筑波大学の一部局として、この使命や責務を自覚し、適切な教育研究の水準を維持するとともに、国際的かつ学際的な教育研究環境を背景に、知の先端的な融合と再生を目指して、研究科全体の組織や教育研究活動を不断に検証し、その向上・充実に努めていくことが必要である。
  2. この憲章は、研究科が実施する自己点検・評価の基準になるほか、筑波大学が行う大学教員業績評価の実施の基礎となるものであり、同時に研究科が適切な教育研究の水準を維持し、構成員相互の敬愛と協働の精神をもって、その向上・充実を図るための基本的な使命を定めるものである。

憲章

(教育理念・目標)
1.創設の理念に基づき、人材養成の目的・目標を明確に設定する。

(アドミッション・ポリシー)
2.教育目的・目標を踏まえて、適切なアドミッション・ポリシー(入学者受入方針)を設定し、
公正な学生の受け入れを行う。

(教育課程・指導方法)
3.十分な教育上の効果や成果を上げるための教育の課程や教育研究指導体制を確立する。

(研究)
4.活発な研究活動の継続とその成果の社会への発信を支援する。

(研究環境)
5.教員の研究活動を活性化させるために、相互に協力して適切な研究環境の整備を支援する。

(学生支援)
6.学生の学修や生活が効果的に行われるよう、適切な学生支援を行う。

(社会貢献)
7.広く社会に貢献するために、国際社会を含めた社会との連携や交流に努める。

(ファカルティ・ディベロップメント)
8.課程の目的や教育内容・方法についての組織的な研究・研修(ファカルティ・ディベロップメント(FD))を
実施する。

(管理運営)
9.教育研究の一体的で効率的な活動の実現をめざして、構成員の意見を汲み入れながら
自主的・自律的に運営する。

(点検・評価)
10.教育研究の水準を維持・向上させるために、組織運営や教育研究活動について不断に点検・評価し、
その結果を改革・改善に結びつける。

(情報公開)
11.組織運営や教育研究活動、及び点検・評価結果について情報公開し、社会に対する説明責任を果たす。

設立・創立主旨

人間総合科学研究科は、平成13年度に人間に関する諸科学を統合し21世紀の人類の課題に向けてパラダイムシフトを可能にし得る総合的な視点と独創的な研究能力を持つ人材の育成をめざして創設された。それまでの医学、教育学、心理学、心身障害学、体育学及び芸術学の6学問領域(研究科)を結集させ、基幹研究領域として、教育学、学校教育学、心理学、心身障害学、体育・スポーツ学、芸術・デザイン学、医学5専攻に加えて、新たな統合研究領域としての、感性認知脳科学、ヒューマン・ケア科学、スポーツ医学の3新専攻による全体として14専攻の複合的構造をもったシステムとして出発した。それは、かつての分散型ディシプリンから集合型ディシプリンさらには統合型ディシプリンへの転換を意図したものであり、養成する能力の観点からいえば、専門知識型能力から課題解決型能力さらには創造型能力への重心移行でもあった。

とくに、従来の人間系の諸科学と医学、体育科学、芸術学の連携により創設された3つの新専攻である「ヒューマン・ケア科学専攻」「感性認知脳科学専攻」「スポーツ医学専攻」は、それぞれ人間の諸問題への総合的なケア科学の創出、精神機能と脳科学との架橋、医学と健康・スポーツ科学の統合的研究をめざしてきた。これらは文系と理系が融合する全く新しいタイプの専攻である。

従来の6研究科を統合して誕生した人間総合科学研究科は、この間、ディシプリン型の学問分野を拡充するとともに、融合型学際(インターディシプリナリー)領域をも新たに創成してきた。人間の生物身体的・教育福祉的・精神文化的の3側面を視野に入れながら、人間に関わる総合科学の確立を目標に、人間に関する多面的知識を基礎にして、優れた先端的研究やユニークな学際的研究ができる能力を備えた研究者の育成、と同時に人間の諸問題に現実的かつ柔軟に対処できる能力を有する高度専門職業人の育成をめざしている。

教育理念(人材養成の目的)

人間総合科学研究科では、「人間」に関する基礎から応用までの高度な教育研究を推進することにより、それぞれの固有の学問領域においてさらに高度な研究を計画実行できる研究者、及び「人間」に関して幅広い知識をもち優れた学際研究を計画実行できる研究者、さらには複合的な視点から「人間」をとらえ、さまざまな生き方をしている「人間」に対して柔軟かつ適切な支援を企画実行できる高度専門職業人を養成することを目的とする。


教育目標

幅広い国際的な視野と総合的な知識・技能を養うとともに、自立的・創造的な高度の研究能力及び専門実務能力を養うことを目標とする。


入学者選抜方針等

人間総合科学研究科は、人間系(教育学、心理学、障害科学)、体育・芸術系(体育科学、芸術学)、医学系(基礎医学、臨床医学、社会医学、看護科学)及び学際系の諸学問領域が連携し、共通の研究対象である「人間」をキーワードとして、幅広く「人間」を研究する研究科である。入学者選抜についても、多様性、総合性、国際性を基調とした柔軟かつ弾力的な入学要件、選抜方式あるいは選抜基準を有している。幅広い地域から多様な留学生や社会人あるいはキャリアパスとしての編入学生を積極的に受入れ、国費・私費留学生への特別の配慮をはじめ、7月期、8月期、10月期、2月期の入試を実施するとともに、社会人選抜入試、第3年次編入学入試、昼夜開講制入試あるいは連携大学院入試など多様な選抜方式、小論文や面接を取り入れた多面的な選抜基準を特色としている。


教育の特色

  1. 研究科全体として区分制博士課程としての改組が進行中であり、その結果、前期課程専攻から後期課程専攻への進学が容易となっている。専攻内でも専攻間でも、これまで以上に科目選択の自由度を上げ、分野を超えた学際的研究と、質の高い専門教育を保つようカリキュラムを編成している。なお、医学2専攻においては4年制を敷き、専門科目を更に充実させて高度な医学専門教育及び研究を行っている。
  2. 5年一貫制の専攻においては、2年次終了時に中間評価を行い、ここでは学習度と研究の進行度をチェックし、教育効果を評価し、これまで以上の学位取得を図っている。
  3. 複数教員指導制を取り入れて、幅広い助言や示唆などのきめ細かい指導を行っている。
  4. 他専攻からの単位取得を大幅に認め、複合的視点から人間を捉える研究の推進を可能にしている
  5. 連携大学院制度を、フロンティア医科学専攻、生命システム医学専攻、疾患制御医学専攻及び感性認知脳科学専攻(前期課程、後期課程)において実施している。
  6. フロンティア医科学専攻、生命システム医学専攻、疾患制御医学専攻、看護科学専攻(前期課程、後期課程)、体育学専攻及び芸術専攻においては、大学院設置基準第14条に定める教育方法の特例を実施している(昼夜開講制)。